再入門 second thought 2004 8 22
最近、新しく個人投資家になった人を見ていて思うことがあります。
それは、応用は知っているが、基礎ができていないということです。
基礎を学ぶことは重要です。
基礎ができていないと、やがて上達は止まり、壁にぶつかることになるでしょう。
たとえば、株の売買の仕方です。
株を売買する時は、「成行」と「指値」があります。
ここで勘違いをしている人がいます。
「成行」は、初心者がやることで、
中級者となったら、「指値」を使うと考えている人です。
これは、間違いです。
上級者は、買いたいと思ったら、「成行」でも買いますし、
売りたいと思ったら、「成行」でも売ります。
こんな経験はないでしょうか。
もう少し、安く買いたいと思って待っていたら、結局、買えなくて、
次の日は、さらに高い株価から始まった。
そして、高値を更新していく。
こうなってしまうと、「高値で買って高値で売る」という手法になります。
しかし、こうした手法が使えるのは、
デイトレーダーやディーラーという「特殊な投資家」だけです。
一般の投資家は、こうした手法は使えません。
あるいは、残念なことに、見込み違いで、
買ったら、予想外に株価が下がってしまった。
株価が戻るだろうと思って、待っていたら、
結局、株価は戻らず、安値で終わってしまった。
次の日は、さらに安い株価から始まった。
こうして、損切りができないで、結局、塩漬けになっていく。
こうしたことは、結局、決断ができなかったのです。
買うと決めたら「成行」で買うべきだったのです。
売ると決めたら「成行」で売るべきだったのです。
確かに、「成行」で注文すると、
予想外に高い株価で買ってしまうことがあるでしょう。
そして、予想外に安い株価で売ってしまうことがあるでしょう。
しかし、それもリスクのうちです。
何が何でも、全勝しようと考えるのは無理です。
これは、企業経営も同じでしょう。
延々と議論しているうちに進出が遅れてしまった。
そして、ライバル企業が、先に新商品を出してしまった。
あるいは、撤退が遅れて、損失が大きくなってしまった。
もちろん、何でもかんでも、「成行」というのも間違いです。
しかし、何が何でも、「指値」にするということが誤りだと言いたいのです。
「指値」と「成行」を、柔軟に使いこなすべきであるということです。
これは、人間の両手と同じです。
右利きだからといって、左手は不要ですか。
たとえ、右利きでも、上手に左手を使っているでしょう。